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次元の果てまで。【七つの大罪】

第6章 貴女の笑顔に、私は


闇に、浮かんでる。心地良い。このままこうしていたい。

「…!ルシウス!」
「…はっ。」

目の前にエレインちゃん。怯えてるけど、それを見せまいと虚勢を張っている。

「ごめんね、エレインちゃん…」
「ううん、大丈夫。それより、暴走が収まるのが早くなったね!」
「そうだけど…大丈夫?本当に怪我してない?」
「大丈夫だってば。てゆうか、エレイン!ちゃんは要らないって!」
「う、うん。」

さ、もう一度。と張り切っているエレインが鬼に見える。あれから数ヶ月、ずっと練習をして、何とか自分が闇にいる状況を把握出来るようになった。でも、闇の中にいるとなんかこう…眠くなるんだよね…。

「ちょ、タンマタンマ。流石に疲れたよ…」
「そう?じゃあ休憩しよっか。」

よ、よかった。ほっとしているとエレインが近付いてきて心配そうに顔を覗きこむ。

「ごめんね?無理させちゃった。」
「んーん、大丈夫だよ。早く制御できるようにならなきゃね。」

ふわり、と笑うエレイン。滅茶苦茶可愛いです。

「じゃあ、練習しよう!」

…前言撤回。鬼が居ます。

「はぁ、はぁ…もう、無理。」
「じゃ、今日は止めよっか!」

やっと解放されたのは夜。かなり疲労がたまって、ほぼ動けない。

「お疲れ様。食べ物取ってくるから、待っててね。」
「…うん。」

とことこと森に入っていくエレイン。その後ろ姿は。

『…それより、食料調達だろ?まかせろ♪』

「…はっ。何を感傷に浸ってるんだ、私は。」

いけないいけない。戻りたいなんて思っちゃいないぞ、私は。
…でも、たまに夢に出てくる。悲しそうに、笑いかけてくる。私は、その顔を見るのが苦しくて。目を逸らしてしまうのだ。

「…所詮夢だ、夢。」
「きゃ…!?」
「っ、エレイン!?」

細い悲鳴が聞こえた。震える膝に鞭打って、エレイン森に入ると、魔物が1匹、エレインに牙を剥いていた。

「エレイン!」
「ルシウス!?来ちゃ駄目!」

エレインは座り込んでいる。足からは血が出ていた。

「エレイン…血が…」
「ルシウス…今のルシウスじゃ戦えないわ!逃げて!」

私はエレインを無視して、魔物を見る。エレインしか見ていない。戦えない奴から片付けようってか?イライラするな。

「おい、魔物。こっちむきなよ。私が相手してやるから。…エレインは、私が守る。」
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