第2章 【失敗する恋だったんだ】
「はぁ…もう死にたい…」
本当はこんなハズじゃ無かったのに。
涙が堪えきれず、瞳からポロポロと零れ落ちる。
そんな醜態が恥ずかしくて情けなくて、私は膝を抱えて啜り泣いた。
ふと、近付いてくる気配を感じる。
僅かに頭を上げて、近寄ってくる人物の足元を見やれば見覚えのある脚伴にタイトな緑色したボディスーツ。
まさかと思って勢いよく顔を上げた私の視界に飛び込んできたのは──。
「まだ若い貴女が死にたいなんて、そんな事言ってはダメですよ」
大好きなあの人にそっくりな外見。
私と同じ様にガイさんを崇拝していて、誰よりもガイさんの近くにいる人。
「…ロック•リーさん…」
「あれ?貴女は僕をご存知なんですか」
どこかでお会いしましたか?と礼儀正しいこの青年は、ガイさんの愛弟子だ。
そっとハンカチを差し出してくるあたり、ガイさんに負けず劣らずの紳士だなぁと感心した。
「リーさんと私は、はじめましてですよ」
鼻を啜りながら、笑って涙を誤魔化す。
「私は夢野アレスって言います。私はガイさんのファンで、リーさんの事も情報として仕入れてました」
「なんと!僕の知らぬ所でガイ先生のファンクラブが設立されていたとは!是非ともNo.1会員になりたかったー!」
「安心してください。あなたは名誉会員です」
本気で悔しがるリーさんに、名誉会員の称号を与える。これで会員は私とリーさんの2名だ。よしよし…って違う!