第2章 【失敗する恋だったんだ】
木の葉の里は、本日も晴天なり。
そんな麗らかな日差しに嫌われたように、どんよりと気落ちする。
私、夢野アレス。
私は公園のベンチに腰掛け、先程影分身が持ち帰った経験をその身に還元して酷く落ち込んでいた。
「…フラれてしまった…」
ずっと憧れていた人、マイト•ガイ上忍。
まだアカデミー生だった頃、些細な事件に巻き込まれてしまった私を、颯爽と助けてくれた。
結構危ない目にあったにも関わらず、ガイさんは嫌な顔一つせずに私に微笑んでくれた。
『怖かったろう、だがオレが来たからにはもう大丈夫だ!』
あのナイスガイポーズが眩しかった。
あの時私は恋に落ちて、ガイさんは憧れの王子様になったのだ。
恋は盲目。外見は関係ない。
そして、子供だった私も16になり、女になった。
長年温めてきた恋心を彼に伝える一大決心をして書いたラブレター。
対象者以外が内容を見ようものなら排除しようと念の為に仕込んだ保険が、最悪の形で発動してしまった。
「あれじゃ嫌われてもしょうがないよ…」
巻物を開いたら立ち上る痺れ薬。
逃がさないように伸びる薔薇の蔦。
とどめは、あの場の空気を読めずに告白してしまった私の間抜けさ。
まるで身動きを封じて無理矢理自分の物にしようとする姑息な手段に、熱血漢のガイさんは軽蔑したに違いない。