第1章 【結婚して下さい!】
その様子に、今まで険しい表情だった少女の頬が緩む。
「──ガイさんっ!」
少女が頬を染めながら、鈴のような声を響かせて叫んだ。
「お付き合いを前提に、け、け、けっ」
「け?」
「結婚して下さいっ!!!」
ズシャアアア!!!
美少女と形容しても差し支えない少女からの突然のプロポーズ。それも里ではイロモノ扱いのガイに対してである。
あまりに衝撃的な場面に、当事者以外は盛大に後退り動揺を隠せずには居られない。
「き、キミ…頭大丈夫?ガイだよ?ゲキマユだよ?」
「あんたの頭が大丈夫?この箒頭」
ガイへの熱い視線とは打って変わった冷めた目でカカシを蔑む少女。
二人の様子と、あたふたとする背後に頬を掻きながら、ガイは苦笑いを浮かべて言った。
「気持ちは嬉しいが、奇襲を掛けてくるような娘はタイプじゃないのでな!」
があぁぁぁ…んっっっ…
裏表のないストレートな拒絶に、少女が打ちひしがれて崩れ落ちる。
「ガイもはっきり言うね…」
呆れた面持ちでカカシはガイを見やり、灰になった少女に憐れみの視線を向けた。恨みがましい少女の視線とかち合って、慌てて目を逸らす。
「…お騒がせしてすみませんでした。…カカシの馬鹿やろーうっ!!!」
しおらしく頭を下げたかと思えば、捨て台詞を吐いて待機所を飛び出していく少女を、ガイは不思議そうに見送るだけ。
「あの娘は何だったんだ?」
「…さぁ?ガイの周りには変わり者が集まる良い例かもね」
そう言うアンタも大概変わり者だとは、誰もカカシに追及出来ない木の葉の上忍達だった。
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