第1章 【結婚して下さい!】
「えい」
ガイの忠告も無視して、カカシは何の躊躇いもなく巻物の封を解いてしまった。
次の瞬間、破裂する巻物。
現れた煙に姿を消されるカカシ。
ガイを始め、他の上忍達にも緊張が走った。
「大丈夫かっ、カカシ!?」
「なっ、何が起こったと言うんだ!?」
呼び掛けに応えるのは、咳込むカカシの苦しそうな声。
お前、何のためにマスクしてるんだ!とか、そのマスクは飾りか!とか飛び交うツッコミに同意しながらも、とりあえずはこの煙を払うのが先だと窓を開け広げる。
そんなガイの背後に、鋭い棘の付いた縄が襲い掛かって来た。
「何ッ!?」
殺気に気付いて身を反転、慌てて身を引く。
緑色した縄は薔薇の蔦のようで、ガイの体を捕縛し損なった先端部は胴体を諦め脚に這い寄った。
「これは…」
「大丈夫か、ガイさんっ!?」
「オレは平気だ。カカシはどうだ?」
「ご心配どーも。強香な痺れ薬を少し吸い込んだだけ」
こめかみをトントン叩きながら、ガイの隣に並んだカカシ。ガイは、絡まる蔦を脚を振り切る事で簡単に引きちぎった。
「スピードも攻撃力も捕縛力も大したことないな」
「でも、イタズラにしちゃやり過ぎデショ。出ておいでよ、仕掛人さん?」
耐性があるとは言え、吸わされた痺れ薬にカカシは少しご立腹である。
煙の発生源を睨み付けるように見据えると、その煙がむくりと立ち上がり体積を増やしていく。