第5章 【青春は、死ぬまで終わらない】
「もし年の差を引け目に感じてるのなら…らしくないです」
私はまた一歩、ガイさんににじり寄る。
「あなたは世間体とか、気にするタイプじゃないでしょ?」
マイト•ガイの魅力に取り憑かれた女を、残りの一生を掛けて愛してやるのが、ナイスガイの条件でしょう。
「た、確かにそうだが…キミは本当に分かってるのか?」
「何が?」
「年が離れていると言うことは…つまり一緒に居られる時間は少ないと言うことだ。どうしたってオレの方が先に死ぬ。キミの周りの友人が老夫婦として寄り添っている時にも、オレは隣に居られない」
キミの晩年を、寂しい未亡人にはしたくない。もっと長く連れ添える相手と、幸せを育んで欲しいのだ。
ガイさんの真摯な思いが、私の心を揺さぶった。
この人は、本当に私の事を考えてくれている。だから敢えて身を引こうとしている。
私は、息を零して笑った。
「…ありがとう…ございます」
「分かってくれたか…」
ほっと胸を撫で下ろしたような彼に、私は満面の笑顔で微笑んだ。
「あなたが私のことを大事にしてくれると分かって、もっと欲しくなりました」
「……なっ!?」
──ドンッ!と壁に手をやり、ガイさんを逃がさないように可能な限り距離を縮めてやる。