第4章 【ガイさんが、欲しいのよ】
そして、大きな手の平で私の口元を覆う。
「ゆっくり息を吸え。オレの呼吸に合わせて、そうだ、すぐに治るぞ」
ガイさんの瞳が、まっすぐ私の瞳を見つめてくる。
……あの時と同じだ。震える私を抱き締めて、大丈夫だ怖くないぞ、オレが守ってやるからなって囁いてくれた。
あなたにとって私は、守るべき里人の一人に過ぎなくて。あの日の事件も、あなたは覚えていないんだろうけど。
私にとってあなたは、心の支えでした。
またこうやって抱き締めて貰えて、すごく幸せです。
このまま死んでも悔いは……
ありまくりだ!!
ガイさんとキスの一つもしないで死ねるかっ!!
「…余計に脈が早くなっているようだが」
白眼モードのネジさんが、ほとほと呆れた様子で言う。
「ガイ先生っ!アレスさんから離れて下さい!」
「何故だ!?」
「あ~もう、この子先生の事が好きすぎてショック死しちゃうかも知れませんよ!」
テンテンさんが、ガイさんから私を引き剥がして座布団に横にならせてくれた。
惜しいけど、ありがたい。
いや、消えた温もりがやっぱり惜しい。