第4章 【ガイさんが、欲しいのよ】
「私を守ってくれたガイさんの言葉が、笑顔が、私にはとても眩しかった」
もしかしたらガイさんに一目惚れしたのは、夢野の血が騒いだからかも知れない。
でも私は本心から、あの人の笑顔をもっとみたいと思ったの。
「あの日から私は、どうにかしてガイさんに気に入られようとしたんです。でも、私には忍びとしての才能はほとんど無かった」
ウーロン茶を飲むリーさんの手が、僅かに震えた気がした。
「だからいつか女として好いて貰えるように、アカデミーを辞めて花嫁修行に専念していました」
「努力したんですね!」
「え…っ、まぁ…宮廷料理のフルコースを作れるほどには」
「これはチョウジが黙ってないな」
清酒をちびりちびりやりながら、僅かに酔いが回っているのか、先程よりもだいぶ和らいだ表情でネジさんが笑った。
「…16才になったのを期に、ガイさんに告白しようとして…」
「力を入れすぎて、空回りしちゃったのね」
テンテンさんからの哀れみの眼差しに、胸がジュクジュク不快なまでに締め付けられる。
私は桃ジュースを一気に煽ると、空になったグラスを勢いよくテーブルに叩き付けた。