第3章 【ガイさんを馬鹿にするな!】
「…日向ネジさん、ですね」
「………」
「すみませんでした…」
今日はなんという日だ。
ガイさん本人だけでなく、ガイさんの大事な部下の方にまで失礼をしてしまうとは…。
ネジさんの元より白い眼から、冷え冷えとした視線が頭を下げる私の後頭部に容赦なく突き刺さっている。
「そ…そこまで落ち込まないで、ね?」
ネジさんの背後から、お団子頭の可愛い女性が微妙な表情で慰めてきてくれた。
これはアレだ、関わるべきか関わらざるべきか図りかねている顔だ。
ガイ班では苦労人のテンテンさんらしい複雑なリアクションに、彼女の胸中を察して私も曖昧に微笑んだ。
妙な雰囲気に、どう収拾を付けようかと頭を悩ませたその時。
「おや、ネジにテンテン」
後ろの居酒屋の入り口から、リーさんが姿を現した。
「リーさん!」
「入り口が何やら騒がしいと思って来てみれば…駄目ですよ、ネジ。女性はもっと敬って接しなければ」
「ここで何故俺が駄目出しされるんだ…」
引き釣るネジさんの頬に、リーさんは勢いよく指を突き刺した。
「この方は、ガイ先生の将来の奥さんになるかもしれないんですよ!丁重に扱って下さい」
「えぇーっ!?あなた、ホントにガイ先生のとが…!?」
「声がデカいぞ、テンテン」