第3章 【ガイさんを馬鹿にするな!】
その日の夜、リーさんに呼び出された私はとある居酒屋の前に佇んでいた。
(まさか…いきなりガイさんと話す事なんて、ないよね?)
大失態を犯した今日の今日である。
まさか直球で本題に入る訳があるまい…鉄は熱い内に打てとか、そんなのとは違いすぎるんだから。
「うーん…もう行くしかないか」
一度の失敗。
二度も三度も同じだ!
「リーさん!よきに計らえよ!」
「煩いぞ。店の入り口で騒ぐな」
覚悟を決めた私の出鼻を挫くのは、淡々とした男性の声。
「あれ?もしかしてこの子が、リーの言ってた子じゃない?」
「…あの人に恋慕するとは…こいつ正気か」
浴びせられるコメントは、私が恋をしてからいつも聞いてきた言葉。
本気なのか、あんな奴のどこが良いんだ、暑苦しいだけだろとか、専らガイさんへの非難の数々。
それらを聞く度に、私の心は鋭く痛んだのだ。
愛する人の誇りを守ろうと、自然に私の声も高くなる。
「……ガイさんを馬鹿にするな!お前等はガイさんの熱血を本心は羨ましがっておきながら、自分に無いものだから彼を妬んでるただけじゃないか!!」