ペリドットの向こう側【アルカナファミリア・デビト】
第1章 自棄酒
「で、そこに腐ってる、デビトさん」
「ンだよ。ニコラ」
夜も更け始めた街外れのバルでふたり。目立たない隅の席で向かい合わせ。
祝福ムードとは一変、少しどんよりとした中でお酒を飲んでいる。
当たり前といえば、当たり前だ。
デビトはファミリーの紅一点だったフェルに、私は私でいつも一緒だったフェルの横に居たルカに惚れていた。
勿論、フェルがルカを気に入っていたのは周知の事実で私の小さな恋心は今目の前に居る男、デビトだけが知っている。
そんな私たち。
表面上はこの祝福ムードを一緒に楽しんでいるのだが、心の奥底ではとんでもなく落ち込んでいるのである。
デビトに至っては表面上も少し沈んで見えるが、仕方ない。
デュエロで負けた上に振られたのだから。
「バンビーナ...じゃねえ、ドンナに負けて」
「その上、そのバンビちゃんを幼馴染のルカに奪われ?」
「ウルセェ。もうバンビーナなんかじゃなくてドンナなんだよ」
デビトはテーブルに突っ伏している。金貨のセリエのカポとしての生き生きとした姿からは想像もできない情けない状態。
今日何回目のため息だろう。まあ、そうだよね。