第4章 ミルクティの憂鬱
「レイ、これ見たいって言ってたよな」
「覚えてくれてたの?」
「さっき予約した」
私が見たかった、というよりも芹沢ユウトが見たかったのだろう。
そして、先ほど私の話を半分しか聞いていなかった時にこれを予約していたんだろう。
芹沢ユウトがレイが見たかったと設定した映画。
どろっどろに甘ったるい恋愛映画を見た。
隣に座るジンの手に自分の手を絡めたら舌打ちして握り返した。
手を繋ぎながら映画を見るなんて初めてだった。
ただ邪魔で、暑かっただけだけど何か面白い経験だった。
合間合間ジンの様子を見ると彼はとても真剣な顔をしてスクリーンを食い入るように見ていた。
これはジンじゃなくて芹沢ユウトなのだろう。
一方、私は映画の途中で寝た。
なんだか、先の読める展開と、ゆっくりとした音楽。そしてこの丁度いい空調。
そして私はお腹がいっぱい。
もう、寝るしかなかった。寝るための環境といっても過言ではなかった。
目を覚ますと丁度エンドロールだった。
タイミングがいい。
ジンと繋いだ手はそのままで、どちらかと言うと彼が私の手を掴んでいる状態になっていた。
オレンジジュースを飲むと氷が解けていた。
ジンが買ってくれたオレンジジュース。
水っぽくて味がほとんどしないジュースだった。