• テキストサイズ

LOVE

第13章 Tears


吐く息が白い。
また冬が来たんだ。



この前まで緑の葉を厚く纏っていた街路樹は、いつの間にか薄ら寒い姿に変わってる。

耳に当たる風が冷たい。



この季節が訪れると、いつも我に返ってしまう。
そして、気付いてしまう。


翔 「ゴメン。何かやっぱり違うみたい。」

カノジョ 「・・・・・・どういうこと?」

翔 「他の、もっと優しいヤツ探して。ホントごめん。」




ごめん。
キミは彼女じゃない。

似てるかも、って思ったりしたけど。
やっぱり違った。




彼女の手を離してしまった季節の訪れが、あの日と同じ温度の風が、今付き合ってる人じゃ彼女の代わりにならないと囁く。







なんで、一緒に居たのがあの頃の俺なんだろう。


今の俺だったら、もっとやりようがあったのに。
もっと優しくできたのに。
もっと大切にできたのに。

あの手を離したりしなかったのに。



寝ぼけた自分が映る鏡の先に、あの頃の自分が時々透けて見えて、殴りつけたくなる。

あの頃の自分には見えてなかった、でも今の自分にはイヤというほど見える、尖がっていきがってた部分。


バカ。
お前のそういうところが、今こういう事態を招いてんだよ。


鏡の向こうのあの頃の自分が、少しだけ申し訳なさそうに眉をひそめる。









/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp