第11章 夜空への手紙
雅紀 「オレはね、ひかりと別れる気なんてなかったから。でもさ、年末仕事がいっぱいあってさ。なかなかちゃんと時間取れなくって。」
・・・・・うん。
雅紀 「ちゃんと顔見て話しようって決めてたから。年末年始の仕事、全部ちゃんと片付いたら、そしたらひかりに連絡しようってずっと思ってたんだ。」
・・・・・うん。
雅紀 「でもさ、さっきね?車に乗り込む時にさ、星が見えたの。前にひかりと旅行した時に一緒に見た星。えーっと何だっけ?ほら、一番明るい星。」
ひかり 「シリウス。」
雅紀 「そう、シリウス!それ見たら、今年が終わっちゃう前に会いに行かなきゃ!って思って。年が明ける前に行かなきゃって。」
ひかり 「雅紀・・・・・・もう年は明けてるよ(苦笑)」
雅紀 「そうだけど!(苦笑)」
頭の上で、雅紀が笑う。
雅紀 「そうなんだけど、まだ寝て起きてないじゃん。だから、まだ明けてないの!(笑)」
うん。
雅紀 「だから、終わって急いで来た。寝ちゃったら困るから(笑)」
私を抱きしめる腕に力が入る。
腕の中で、彼の服をキュッと掴む。