第11章 夜空への手紙
3回目の紅白司会。
ずっと見てるのはやっぱりツラくて、最初しか見てない。
時計を見ては溜息ついて、チャンネルをザッピングしてばかり。
(今頃紅白が終わって、移動してるのかな。)
(去年は―――――。)
初詣が終わった後、会いに来てくれたんだよね。
そのことを思い出してると、急にどうしても彼の顔を見たくなって、TVをつけた。
足が痺れた時に、痛いの分かっててわざと刺激を与えてみる感じに似てる。
痛いんだけど、でもその痛みを少し感じたいような。
会いたいのに会えない痛みを紛らわすために。
番組は終わって彼らはもう出てこないけど、次の番組になってもまだボーッと画面を眺めてた。
右手を伸ばした先に彼がいないのが、どうしようもなく淋しい。
ココアを飲もうと思って冷蔵庫を開けたら、牛乳を切らしてた。
・・・・・コンビニに買いに行こ。