第11章 夜空への手紙
コンビニの帰り道、夜空を見上げる。
東京でも、この辺りで深夜なら結構星が見える。
シリウスを探す。
真っ暗な空に輝く、全天一の輝星。
今、彼もこの星を見てないかな。
何万光年離れたあの星を経由して、届かないかな。
本当は好きだよって。
会いたくて仕方ないって。
私が弱かったんだ。
度重なる某女優との噂が気になって気になって仕方なかった。
「好きだよ。」って言ってくれる彼を信じるよりも、いつもつきまとう噂に憑りつかれて、身動きが取れなくなってしまった。
自信がなくて。
あんなキレイな女優さんに勝てる訳ないから。
彼は比べたりしないのに。自分が比べてただけなのに。
そして、逃げちゃった。
彼の誕生日の日に。
クリスマスイブで、彼の誕生日で。
そんな日なのに、一緒にいることもできない。
でも、あの彼女だったら会えるかもしれないんだ。同じ世界で生きてるから。
もう、ツラくてツラくて。苦しくて苦しくて。
私バカだから、分かってなかった。
ウソかホントが分からない噂にキリキリさせられてたことより、もう会えないこと、もう声を聴けないことの方がどれだけツラくて苦しいかってことを。
本当にバカだ。