第6章 Breathless (R18)
動けない。
言っても、彼は体の大きい男の人じゃない。
むしろ小柄で。
力も強そうな感じは全くなくて。
いつも少し宙に浮いてるような、そんな存在感で。
その彼に、壁に押し当てられて身動きが取れずにいる。
肩を動かせば、この場から逃げられるとは思うのに。
彼の目線が呪縛のように絡む。
少し色の薄い瞳が、私を捉えて離さない。
うっすらと彼が笑った。
私の目から視線を口元に移して、伏せ目で彼の顔が近付く。
ひかり 「んっ・・!」
重ねられた唇が、私の上唇を咥え、両の唇を吸う。
生温かい舌が侵入し、口内を隈なく探りなぞる。
壁で逃げ場が無い私は、ただ舌で犯され続ける。
頭がジンジンする。
意識が彷徨い始める。
足の力が抜け始めて、つい、彼にしがみついてしまった。