第4章 P・A・R・A・D・O・X (R18)
何がスイッチを押したんだろう。
外し忘れてた指輪?
鼻先をくすぐった香水?
たまたま上がった旦那の話題?
何が直接のきっかけなのか分からないけど、彼女を抱きしめる腕を解けないでいる。
お互いじりじりと、でも確実に追い詰められる。
際で、落ちないように爪先で必死に立っている感覚。
一歩先にあるものは、背徳と呼ばれる世界。
怪しくも蠱惑的な光を放ちながら手を広げてるのが見える。
・・・・・あそこに飛び込んだら、どうなる?
俺の知らない彼女を、そして自分自身を見たいという、泡立つ衝動に駆られた。
考えてることは、同じ。
似た者同士、だから。
自分の行動や言動から起こり得るデメリットを推測しちゃって、身動きが取れなくなるんだよな(苦笑)
でもさ。
行ってみねぇ?
誰も見てない。気付いてない。
二人だけの秘密だから。