第4章 対面そしてご挨拶
少し落ち着きを取り戻した、そんな時、
「・・・うぅ、」
突如聞こえた声。
私は目の前のお兄さんを見上げる。そんな目の前の彼は、ん?と首を傾げるだけ。いやいや、ん?じゃない。だって今の声って・・・
「・・・・・・あか、ちゃん・・・?」
そう、明らかに赤ちゃんの泣き声。
私は後ろに立つ彼、功平を見上げる。おずおずと話しかける私に気付いた彼は、あぁ、と笑ってお兄さんに手招きをする。そして、その声の主が判明した。功平に言われた通り私に背を向けたお兄さんの背中には、抱っこ紐で支えられた赤ちゃんがいた。
「え・・・あ、ご結婚されて・・・?」
「違う違う(笑)。弟の竜(りゅう)だよ」
「お、弟!?」
私の驚く声と共に空いたドアから、帰宅した悠輔が私の声と玄関に大集合の状況にポカンとした表情で現れた。
「「「「いただきます」」」」
そして結局、夕飯をご馳走になることに。
「弟達がお世話になってます」
「い、いえ、そんな・・・こちらこそです!」
ここの長男、秀(しゅう)は気さくで、見た目からして優しさが滲み出ている。彼は私が人見知りなのだとすぐに察してくれて、大丈夫大丈夫、と私の背中を優しく摩ってくれた。何より嬉しかったのは、そんな私を急かすことなく受け止めてくれたこと。
「よく話してるんだよ、ともみちゃんのこと」
彼は私を、功平達と同じようには呼ばない。醸し出される雰囲気だけでなく、やはり精神年齢も大人であることは話してみて確信した。
「今日も迷惑かけたみたいで、ごめんね」
「そ、そんな迷惑だなんて・・・。私が勝手に来てしまったんです、」
「心配してくれたんだね、ありがとう。嬉しいよ」
そうして笑った彼の笑顔は、やっぱり功平達と似ていた。
「またね、ともみちゃん。気をつけて帰ってね」
「は、はい・・・ありがとうございました」
「それはこっちの台詞だよ(笑)、ありがとう」
夕食を終えた私は、駅まで送ってくれるといういつもの功平と共に玄関に立っている。見送ってくれた秀の言葉はやっぱり優しくて、緊張して上手く話せない私でも自然に笑みが溢れた。その隣にいる悠輔にも手を振り、いつものように功平に駅まで送って貰った。