第4章 対面そしてご挨拶
「すげーな」
自分に出来ることを終えて2人でリビングに戻ると、先にソファに座った功平が私に隣に座るように促す。そして座った瞬間にこの言葉。
「どうしたらいいか分かってるし、必要な物タイミングよく持って来てくれるし、何気に手際いいし」
「・・・一言余計」
「ごめん、冗談だよ。でも本当助かった、さんきゅ」
眉毛を八の字にして笑う功平に、いいえ、としか返せなかった。完璧に見えていた功平にまさかこうして褒められるなんて驚いたし、少し嬉しくて照れくさかった。その後、テレビを見たり他愛ない話をしたりしていると、いつの間にか夕飯時になっていた。
「・・・本当に大丈夫か?」
「大丈夫だってば、もう!」
そろそろ悠輔も帰って来るだろうからついでに夕飯食べてって。という功平の誘いを断り、今は玄関で靴を履いている所。陽太を1人には出来ないし、でも私に夜道を1人で帰らせるのも・・・と心配する功平。
「明日も学校休むの?」
「いや、明日は兄貴いるから」
「そっか、それならよかった。じゃあ帰るね、お邪魔しました!」
「ん。送れなくてごめんな」
「そんなことして貰わなくて大丈夫だよ(笑)。陽太の看病、頑張ってね」
そんな別れ際の会話をして、ありがとう、という功平にバイバイと手を振りドアを開ける。
「うわっ・・・!」
と同時に、私が押すよりも強い力で外側に引っ張られた。
(な、何事!?)
突然引っ張られた私は踏み止まることも出来ず、そのまま前につんのめる。そんな私がケガすることなく無事でいられたのは、ドアの向こうから現れて支えてくれた人のおかげ。
「ごめんね、大丈夫?」
支えてくれた張本人が、心配して私の顔を覗き込む。支えられたままの状態で放心状態だった私は、慌ててその人から離れた。
「ごごごめんなさいっ!」
「いやいや、こちらこそ。まさか人がいるだなんて思わなくて・・・怪我はない?」
「だ、だいじょぶ・・・です・・・」
「そう?よかった」
支えて貰ったことについて謝罪と感謝の言葉を述べると、俺が悪かったんだ、ごめんね。と逆に謝られてしまった。そんな彼は誰かなんて、聞かずとも分かってしまう。
「・・・おかえり、兄貴」
そう、彼は功平達のお兄さん。顔立ちは勿論似てるし、支えて貰った際にフワッと香る匂いが同じだった。