第4章 対面そしてご挨拶
そして翌日の昼下がり。
ポケットの中で震えた携帯を即座に確認する私を、隣でニヤニヤしながら見ているのは言うまでもなく麻乃。ちなみに今はバスで下校中。
「やっぱ付き合ってんだ」
「・・・違うって言ってるでしょ、朝からしつこい」
「だって朝からずーっと携帯気にしてるんだもん」
確かに麻乃の言う通り、朝から・・・と言うより昨日の夜からずっとこんな感じ。だけど、私がこんな頻繁に携帯をチェックしているのは、麻乃が考えているようなことでは全くもってない。
「熱?」
「うん、風邪ひいちゃったみたい」
それは昨晩のこと。帰宅したことを功平に連絡すると、返事と共に写真が貼られていた。そこには笑顔の陽太が写っていて、可愛いと思ったのと同時にあることに気がつく。
[陽太の頬が赤いみたいだけど大丈夫?熱はない?]
それで熱を測った結果、38.3℃の高熱。今朝、病院に連れて行った功平から“風邪”であると聞いた時はホッとした。もしかしたらインフルエンザかも、なんて思っていたから。
そして
ピンポーン、 ・・・ガチャ
「・・・はい、・・・・・・え?」
「ごめん、来ちゃった」
いてもたってもいられなくなった私は
「陽太、どう?」
おこがましいのを承知で、やって来てしまった。
「今は寝てる」
「そっか・・・。じゃあ、よかったらコレ貰って?」
ゼリーや熱冷まし等が入った袋を差し出す。彼が受け取ったのを確認して帰ろうとすると、功平は私の腕を掴んで止めた。
「・・・上がって」
陽太のことが気になって仕方なかった私は、一目見ようと、お言葉に甘えて上がらせて貰うことに。
陽太の部屋に入ると、そこには布団で寝ている真っ赤な頬をした陽太がいた。額にかいた汗が全てを物語っている。
「色々ありがとな。助かる」
リビングに行くと、私が持ってきた物を功平が冷蔵庫にしまい終えたところだった。
「ううん、ちょっとした物だから。・・・あのさ、氷枕、ある?あとタオル」
「氷枕・・・あったような気がする」
氷枕を探しに行った功平からタオルを受け取り、私は先に陽太の部屋へ戻る。身体中の汗を濡れタオルで拭い、肌と服の間に薄いタオルを挟んだ。探し出して来てくれた氷枕に頭を乗せ、額に熱冷ましシートを貼ると、どことなく陽太の表情が安らいで見えた。