第3章 一度による大きな進展
え・・・、と思わず声を漏らす私は、理解するのに少し遅れをとった。まさか、また会う約束をすることになるだなんて・・・
「えー・・・っと・・・いつでも」
「え?」
「・・・合わせます」
唐突なことに弱い私の頭の中はぐちゃぐちゃで、こうなったらもう考えることを放棄して人任せにするしかない。まさにお手上げ状態。
「本当にいつでもいいの?」
「う、うん。・・・あ、でも平日は学校だから放課後になっちゃうけど、」
「それは俺も同じだから(笑)」
彼は笑いながら、考えるように上を見上げる。前を見ずに真っ直ぐ歩く彼を横目で見ていると、急に彼がこちらに顔を向け、目が合う。
「じゃあ・・・暇な日、連絡する」
「・・・え?」
「あ、ごめん、嫌なら別に・・・」
「い、いやいや、全然嫌じゃないよっ!」
「そう?なら良かった」
私をテンパり過ぎだと笑う彼は早速ポケットから携帯を取り出し、私に電話番号を要求する。私が口頭で伝え終わって数秒後に私の携帯が震え、画面には知らない番号が表示されていた。
「登録よろしく」
それが彼のものだということはもちろんすぐに理解し、現代では当たり前のように連絡手段として使われている某アプリ❝LI*E❞を開けば、新しい友達として彼と思われるユーザーが存在している。
「・・・こう、へい?」
「うん、よろしくな」
平仮名4文字で表記された彼の名前をボーッと見つめる。会うこと3回目にして、初めて彼の名前を知った。
(・・・だから“こうにぃ”なんだ)
陽太がそう呼んでいたことを思い出し、ようやくピンと来た。なんて1人納得していると
「へぇ、ともみ、か」
初めて名前で呼ばれビックリして彼に顔を向けると、彼も私と同じように、陽太が私のことをともと呼ぶことに納得したようだった。
「まあ、さっきお前の友達が呼んでたから分かってたけど」
麻乃のことね。でも、あんなサラッとした会話よく聞いてたな。・・・ていうか、お前って!多分初めて言われたんだけど!何か色々な気持ちが一気に交差して、変な気分になって来た・・・。
そんな私に追い打ちをかけるように彼は続ける。