第32章 雨は止む
ー及川sideー
『…とまぁ、こんな理由で辞めたんです』
真剣に"過去"を教えてくれ、辞めた理由を教えてくれた楓ちゃん。
初めて会ったとき辛い顔してたのはそういうことだったのか…。
『そして今日なぜか体育館に行くことになってしまって…。そこでなんで辞めた、戻って来いって言われて…』
悲しそうに歪む楓ちゃんの顔。
『なんて言えばいいかわからなくて、"何も知らないのに簡単に言うな"、"この部活に入らなければよかった"、"私なんていなければいい"って…言っちゃったんですよ』
声が震えているのがわかる。
『ほんと……バカですよね…』
そう言って笑う楓ちゃんは俺からしたら泣いてるようにしか見えなかった。