第3章 モノクロのムコウ
ひかり 「――――何?」
和也 「え?何が?」
ひかり 「ずっと顔眺めてるから(苦笑)」
和也 「あー。あの辛かった食べ物、何だったのかなーって(笑)」
ひかり 「ニノ、ほとんど食べてないないくせに。」
和也 「まーね(笑) ・・・・・・あのさ?」
左手でひかりの唇に触れる。
少し湿った感触にゾクリとした。
ひかりもピクリと動いた。
触れている肌の体温がまた、少し上がり始める。
月明かりの後を追うように、額や瞼や鼻先にキスを落とす。
ひかりの指が柔とオレの髪を掴む。
ひかり 「ん・・・・・ニノ・・・・・」
小さく声が洩れる。
強引に口を塞いだ後、離れた唇から本音が漏れた。
和也 「・・・・・・名前で呼べや(笑)」
零れて、流れ落ちていく。
バレないように上書きしてあげる。
身体の奥の奥を。
心の小さな扉の暗証番号を。
オレじゃないとその鍵は開けらんないからね?
暗幕を下ろして、いざ、誰にも見つからない世界へ。
引き寄せて抱きしめたものが醒めないように。
朝なんてもう、来なくてもいーのにな。