第1章 SMALL SOLDIER
「ハッピーバースデー!」
ふーっ!
ケーキの上の蝋燭が消える。
「誕生日おめでとう、イチゴ!」
母、父の声がする。
「ありがとう!!」
ショートケーキを頬張る。
私は今日16歳を迎えた、ヒナタ イチゴ
普通の学生をしている
「イチゴももう16歳か、早いな!」
「パパ、私もうお嫁に行けるよ」
「そうだよな、そんな年だよな…まあ、とっとと嫁に行ってくれたらせいせいするな!」
「じゃあもうお嫁に行く!」
「やっぱりダメ!!!」
なんてやり取りをして、笑いあってた
ポコン
私の携帯が音を鳴らした。
「ユウキだ!!話してくるね!!」
二階にぱたぱたと上がる
直ぐに携帯を耳元にあてる。
「ユウキ、こんにちはっ!」
マシロ ユウキ、私の彼
遠距離恋愛で、会えない日々が多い
なのでこうして携帯で話しているのだ
「誕生日おめでとうイチゴ」
「ありがとうユウキ!」
「今度また会いにいくから、そのときにプレゼントあげるから!」
「なんもいいのにーっ」
小一時間話して満足したところで、一階に降りる。
「さーて、ケーキ食べるぞー!!」
と、元気に叫んだが、父と母の顔は、テレビに向いていて私の言葉は聞こえていないようだ
「何?」
私もテレビに目を向ける。
「りん、じ速報…」
キャスターは、こう言う。
「臨時速報です、明日、政府の議案が通り、都道府県毎に競技場で殺戮試合をするようにという法令が出ました」
キャスターの声も、震えていた。
その殺戮試合の報道はどこのテレビ局でもしていた。
「パパ…ママ、これ、なに?」
「ママ達も、わからない…」
「わかるのは、殺し合いをしなければならないかもしれないということだけだ…」
「なにっ…それ!!!」
言い様のない恐怖、憤怒、悲哀が混みあげる。
父と母も、涙目である。
「明日、詳細発表となります…」
キャスターが涙目になりながら言う。
私も、涙を流すしかなかった。
翌日、日本全国に紙が配られた。
それもまた、私達を絶望に陥れた。