第3章 CRUEL
「残り時間、10分です」
機械音声が言う。
私は今、筒のようなガラス張りのエレベーターのようなものに乗っている。
きっとこれは競技場に続いているのだろう。
ここに来る前に、代表者以外の人々の投票方法を知った。
まず、全国ネット、テレビなどで一人ずつ
名前、年齢、職業、体重、身長、最終学歴などを明かされる。
プライバシーの侵害は代表者にはないのだろうか…
それを一日中発表しつづけ、各都道府県に20もの大型民間施設を設けた。
それは、投票する各代表者に命を賭ける、という行動。
人々は、政府から指示された通りにしている。
例えば、Aが私に命を賭けると決めたとする。
すると、Aは
ヒナタ イチゴに命を賭ける人は、○○へ移動してください。
と指示がはいるので、Aは○○へ行く。
というものだ。
それが何の為にあるのかは、集計上の都合だろう。
などと考えてた…
すると、ガラス越しにモニターが移された。
そこには、投票結果が記されていた。
代表者20名に対して、550万人もの人々が命を賭ける。
男性陣
547万人
女性陣
3万人
おおざっぱに、こう書いてあった。
やはり圧倒的に男性陣の方が多い
圧倒的どころではない、桁が違う。
あなたの背負う命は
6人です
6人…!?
少ない。
確かに私は弱々しい女子高生だ。
多分、ユウキや両親、それか気まぐれな人が投票したのだろう…
もし、私が勝ったら、生き残ったら。
549万人以上が、死ぬ。
私の直接背負う命は6人。
間接的には、549万人だ。
代表者は、直接背負う命だけでなく間接的に背負う命もある。
結局はほぼ、550万人の命を背負うことになる。
心が押しつぶされそうだ。
そんな大人数を、殺すなんて…
私には、そんなこと…