第15章 -青色の彼の嫉妬とキス-
大ちゃんちに行くと、出てきてくれたのは
やっぱりおばさんで少しホッとした。
でも、本音は、
ホッとしたのが半分と、
大ちゃんに会いたかったのが半分。
そんなコトを思いながら、
おばさんにさくらんぼを渡したからか、
おばさんにあがっていかないかと
勧められてしまった。
「こんなにたくさん⁈ありがとう。
すーちゃん、一緒に食べていかない?」
「えっ⁈あの…えっと…でも、コレ、
大ちゃんちにあげたさくらんぼだし、
わたし、家でもう食べちゃって…」
「じゃ、少し大輝に持ってってくれない?」
「え…⁇」
おばさんは淋しそうな笑顔で、
わたしを見つめていた。
「おばさんが行くより、
すーちゃんが行くほうが、
大輝もさくらんぼ食べると思うの。」
「そんなことな…」
「そんなことあるのよー。
身体だけあんな成長しちゃったくせに
ほんと中身は成長しない
お子ちゃまな我儘息子なんだからー。
だから、美人ママが行くより、
可愛い幼なじみが行くほうが、
あのコも少しは素直になれるの♪」
おばさんが、大ちゃんが成長してないとか
そんなこと思っていないことが、
痛いほど伝わってきた。
でも、行くなら、わたしより、
お姉ちゃんのほうが…
「ね?お願い。
すーちゃんにしか頼めないの。」
「…うん!
さくらんぼの配達代として、
今度マジバのシェイク奢ってーって、
大ちゃんに言わなきゃ♪
おじゃましまーす!」
わたしはおばさんを少しでも安心させたくて、
ニッコリ笑って大ちゃんちにあがった。
「やっぱり女のコはいいわよね♡
大輝なんか可愛さのカケラもないんだからー。」
おばさんもさっきの淋しそうな表情ではなく、
いつもの明るい表情になっていた。
よかったぁ…。
大ちゃんの部屋に行くのは、
少し緊張するけど、
やっぱり試合後の大ちゃんは、
ちょっと心配だったし…。
おばさんとおしゃべりしていると、
おばさんがさくらんぼをお皿にいれて、
冷たいアイスティと一緒に持たせてくれる。
「急にごめんね、すーちゃん。
よろしくね。」
わたしは久しぶりに
大ちゃんの部屋の窓ではなく、
ドアをノックした。