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〜蒼い青い片想い〜

第15章 -青色の彼の嫉妬とキス-


「そーだ!さつきかすみれ、
食べ終わったら、大ちゃんちにも
さくらんぼ持ってってくれない?」


「えっ⁈」


食後のデザートにさくらんぼを食べていると、
ママがさくらんぼのパックを紙袋に入れて、
わたしたちの前に差し出した。


「パパの会社の方から
たくさんいただいちゃったのよ。
美味しいし、さつきも大好きだけど、
さすがにこんなにたくさん
ウチで食べきれないでしょ?」



たしかにキッチンには大量のさくらんぼ…。



「すーちゃん、行ってきてー。」


「えぇ⁈」


お姉ちゃんはまたさくらんぼの茎を
舌で結ぶ変なコトをしながら言った。


「今日、やっぱりちょっと疲れたみたいだから、
今からゆっくりお風呂入りたくて…。」


うぅ…お姉ちゃんにそう言われると…。


でも…


試合前の大ちゃんのことばが
頭の中でリプレイされる。



『試合…勝ったら…
つぅか、勝つに決まってんだけど…
すみれ…おまえからキスしろよ?』



あんなこと言われて、
大ちゃんとどんな顔して会えば…⁈



「すーちゃーん?どうしたの?」


「えっ⁈あ‼︎うん‼︎」


「じゃ、すみれお願いね?」



あ…。



またボーッとしてしまって、
思わず頷いてしまったことを後悔した。



咄嗟の判断て難しい…。



大ちゃんのあのことばは、
とってもとっても気になるけど、
さくらんぼをおすそ分けに行くだけだし…。


きっと出てくるのはおばさんだもんね。


「はーい。」


食べ終わった食器を片付けて、
わたしは大ちゃんちに行くコトにした。


ママが用意した紙袋を持って、玄関に行き、
お隣に行くだけだし…と、ビーサンを履く。



でも、お隣に行くだけなのに、
見てしまうのは、玄関の姿見…。



ごはんの前に着替えたから、
ただの部屋着用のTシャツとショーパン。



別に可愛くもなんともない、
大ちゃんも見たコトあるTシャツ…。



女のコっぽくないかな…。



違う違う‼︎


大ちゃんに会いに行くんじゃなくて、
さくらんぼのおすそ分けに行くだけなんだから‼︎



結局、着替えずに
大ちゃんちに行くコトにした。


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