第15章 -青色の彼の嫉妬とキス-
家に入るとお姉ちゃんは帰っていたみたいで、
玄関で出迎えてくれた。
お姉ちゃんは笑顔だけど、
やっぱり今日はちょっと疲れてるのかな…。
「おかえり、すーちゃん♡」
「お姉ちゃん、ただいまー!」
と思ったのだけど、
お姉ちゃんはいつものように抱きついてきた。
「お疲れさま。」
ポンポンとお姉ちゃんの頭を撫でてあげると、
お姉ちゃんは顔をあげて、
今度はわたしの頭を撫でてくれる。
「すーちゃんのほうが大変だったでしょ?
青峰くん、連れてきてくれてありがとね。」
「…っ⁈ううん。わたしは何も…。」
お姉ちゃんは何も悪くないのに、
また胸がズキンと痛む。
やっぱり、わたし…イヤなコだなぁ…。
「そーだ‼︎そういえば、すーちゃん、
虹村さんと一緒に見てたんだね!」
「え?なんで知って…?」
「コートから見えてたよー。」
そっかぁ。
そういえば、お姉ちゃんは昔から、
応援席のわたしを見つけるのが得意だった。
「わたしも久しぶりに話したかったなー。
この間きーちゃんから聞いてはいたんだけど…」
「…⁈お姉ちゃんも虹村先輩帰ってきてたの
知ってたの⁈」
「うん。」
「なんで言ってくれなかったのー⁈」
虹村先輩のコト、皆知ってたなんて…‼︎
「あれ?言わなかったっけ?」
「言ってなーーい!」
「そんなに拗ねないで?ね?」
やっぱり、きーちゃんも、
わたしじゃなくてお姉ちゃんには言う…よね。
同い年だし、同じ部の仲間だったんだし…
大ちゃんも…
1歳の壁って…大っきいな。
「すみれ?すーちゃーん?」
お姉ちゃんに名前を呼ばれてハッとする。
「ごめん、ごめん。拗ねてないってば〜。
でも、今日の夜のデザート、
お姉ちゃんの好きなさくらんぼって、
ママからメッセージきてたけど、
全部食べちゃおっかな〜♪」
わたしは慌てて固くなっていた表情を
意識的に緩めた。
「えぇ⁈すーちゃん⁈」
「冗談だよーう。早くごはん食べて、
一緒にさくらんぼ食べよ♪」
「うん!」
ダメだ、ダメだ…。
すぐ変なコト考えちゃう…。
わたしは頭をブンブン振って、
イヤな考えを振り切った。