第4章 貴方の手で
花恵「はんは凄いですね」
「え?」
階段を覗いていると花恵さんの口が開き
振り向く私
花恵「だってあんな楽しそうに笑ってる隼哉さんってたぶん皆 見たことないと思います」
口角を上げ頬笑む花恵さん
品のある綺麗な横顔
「隼哉さんって笑わないんですか?」
花恵「うーん…そうですね…笑っても何処か冷たい感じで…何を考えているのか分からないって皆は言います」
「そうですか…」
“冷たい感じ”か
まぁ 私の場合あの人(隼哉さん)は
酷いし鬼だしブラックな感じだけど←
花恵「でも、隼哉さん あの顔だから女性に人気が高くて」
「確かに顔はね 顔は」
花恵「ふふっ 厳しい人でもあるけどとても優しい人なんですよ」
優しい人…か
確かに土方さんに追われて助けてくれたり
行き場のない私をここで働かせてくれたり
荷物も持ってくれたり
着物も持ってきてくれたり
着替える時もずっと廊下で待ってくれたり
「あ、それは…分かります」
花恵「………」
「花恵さん…?」
花恵「あ、ううん なんでもないです」
「大丈夫?」
花恵「…うん。私が男の人やったらきっとはんのこと好いてたかもしれへんなって」
「わ、私を…?」
花恵「なんか隼哉さんが笑うのも分かる気がします」
「え?」
花恵「これからはタメ口で花恵って呼んで下さい」
「え?い、いいんですか?」
花恵「もちろんです」
私がここへ来て出来た初めての友達