第2章 いじめられっこと覚悟
そういってジェイ少佐は口元を緩めクスクスわらい、軽く馬鹿にされたのか?と頭にはてなマークをうかべているひふみのネクタイをぐいっと引っ張った。
「ーーだが少し、いじめたくなる!」
「ぐええええ!!」
そう言って楽しそうにネクタイを締め上げるジェイ少佐と苦しそうにするひふみだったが、突如人を殴るような音と吐きやがれ!!という大声が聞こえた。二人は急いで扉の小窓を覗くと生徒が生徒の襟首を掴み持ち上げている。足元には一人殴られたのだろうか、倒れていた。その間も男はお前らが殺したんだろうと声を荒げていた。ただ事ではない。急いでジェイ少佐はミーティングルームの扉を開ける。
「なんだ?!なんの騒ぎだ?!」
「おい、あれ…Mr.クイーンとエキストラジョーカーか?」
「!」
よくよく見ると広場で持ち上げられているのはクエスト、なぐられて倒れているのはランクだった。
「このアカデミーに女装趣味なんてお前しかいねェ…。仕返しのつもりか…?だったら俺でよかったじゃねえか…!俺が怖いから…!あいつを狙ったのか?!」
仲間の止める声も聞かず凄い剣幕で怒鳴り散らす。それに対してクエストは冷たい目で嘲笑う。
「フン…それがお前の出した答えか。それっぽっちの憶測で僕らを人殺しにしようなんて流石クズ以下だ。そんなことより女の子を殴り飛ばし華奢な女装男を虐めているお前は…今どう見えてるんだろうな…?」
その言葉が大男、ロイの勘に触ったのかクエストに向けて拳を振り下ろす。その時だった。館内のアナウンスが鳴り響いた。
≪総監、アカデミー内全員に告ぐ。直ちに第一ホールに集合せよ。これは訓練ではない。繰り返す…≫
それをきいた生徒達がどわっと逆流のようにクエストとランクを避けて押し寄せる。
「(お前らが殺した…?一体どういう事や…!2人に何があったんや…!)」