第3章 俺の正義は脆くて果敢ない
ざわざわとざわめきが起きる中、再びロイがクエストに拳を振るう。肘が止めようとしたひふみの顔面に直撃、気を失う。それを見てランクは羽交い締めを解こうとするが叶わなかった。
「ッ…!やめろッ!」
殴られる。そう誰もが思った時、誰かがロイの拳を受け止めた。
「待つことネ。武力行使はいけないヨ。それにクイーンと組むのはこのわたしネ。もし次手を出したらその時はー……」
「ハッ、その時は?どうするってんだ!!」
拳を受け止めたのは背の高い、女の子だった。開放されたランクは呆然とそれを見る。再び彼女に向かって拳を振るうロイだったが、その拳を流れるように受け流され後ろに回り込まれる。
「馬鹿な男ネ…あんま女ナメてるといいことないヨ?」
女の子は軽々と大男を倒す。その勇姿に周りからは地響きのような歓声があがる。チームへの勧誘、賞賛の言葉が飛び交う中ランクは拳を握り、小さく唇を噛み締めていた。