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道化師恐怖症。

第32章 その毒林檎、一口ちょうだい




蒼先輩に連絡したが
文面からは嫌がっている感じはしなかった

まぁこんな文からじゃ
分からねぇけど…

とりあえず1回でも連れていったら
部長たちだって満足するだろうし
蒼先輩もそれなりの対応を
してくれるだろう…多分


いつもの道が少し暗く感じる




「…先に俺が入りますから
後から入ってきてくださいね」

「あぁ分かった」


とうとう病室に着いてしまった

いやだいやだ
嫌な予感しかしない

だけど俺が勝手に判断して
蒼先輩の考えを否定する訳にはいかない

ドアをノックすると
中から返事が聞こえてきた


それを確認し、中に入ると
ヘッドボードにもたれている蒼先輩と
その横の丸イスに腰掛けている前城先輩


「ちわっす」

「赤也くん、今日もありがとう」

「来るのは当然ですよ!」

「なんたって彼氏だもんねぇ」

「か、からかうのはナシっスよ!」


けらけらと笑う前城先輩の横で
ちょっと顔を赤らめてる蒼先輩が
やっぱ可愛いな…じゃねぇ!!


「蒼先輩、来てるんスけど…」


本当に入れるんですか?
そんな気持ちも込めて

だけど蒼先輩は笑って頷いた


「うん、ちょっと待って」


そう言って、ベッドから出る


「え!?だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫だよ。もうほとんど普通だし。
ちゃんと私の口から言わないとね」


そのまま俺の横を通過し
ドアの前に立った

…?何するんだ?


「来てるんだよね?幸村くんたち」


ドアに向かって話す蒼先輩

外からは部長の声が聞こえてきた


「やぁこんにちは。久しぶりだね。
身体の調子はどうかな?」

「どうも。おかげさまで。
ところで何しに来たの?」

「こんなドア越しじゃなくて
直接話したいんだ。
入ってもいいかな」

「そうだなぁ…。
私の願いを一つ聞いてくれたらいいよ」

「願い?」


願い?どんなんだろう


「うん。西崎さんを連れてきてよ」

「…西崎を?」

「蒼先輩!?何考え…」


俺が叫びかけると
蒼先輩はこっちを振り向き
人差し指を口元で立てた

か、かわいい…じゃねぇっの!!





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