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道化師恐怖症。

第31章 目覚めの珈琲はいかがですか




裏門、裏門...!!

ぜぇぜぇと息は乱れるし
急に走ったもんだから余計苦しい

だけど走るしかない
行くしかない

ありがたいことに
部室から裏門はそう遠くなかった


「っ...はぁ、はぁ」


どこだ、どこだアイツは

西崎はどこにいる


「うふふ。赤也ぁ久しぶりぃ」

「!!」


嫌に語尾をあげる
ねっとりとした話し方

気味が悪い程高くて甘い声

やっぱり、西崎...


「てめぇ!!!何のつもりだ!!」

「そんなに怒らないでよぉ。
ちょっとしたイタズラでしょお?」

「んだと...!?
てめぇのせいで!!蒼先輩は!!」

「だってエリナの邪魔したの。
いけないことじゃない」


なんだ、目の前のコイツは
一体なんなんだ

人を一人殺そうとしておいて
まったく後悔の念がないなんて


おかしい、気持ち悪い


コイツは本当に

人間なのか


「ところで、これ
如月へのプレゼント?」


前城先輩からの預かり物

なんの躊躇もなく
袋に手を突っ込みテディベアを
乱暴に取り出した


それが余計に、怒りを呼ぶ


「触んじゃねぇ!!!」

「一体あんな奴のどこがいいの?
エリナの方が可愛いしぃー
女としてもちゃんとしてるよぉ?」

「お前なんかと比べんな。
蒼先輩に失礼なんだよ!!!」

「あぁぁぁぁあああ"!!!!」


俺の怒声と同じくらい酷い声で
叫び狂った西崎は

完全におかしいように見えた
正直、恐怖すら抱く


「エリナ以外の!!女が!!
名前で呼ばれちゃいけないの!!!
だってお姫様だけが特別なの
それ以外はモブなのおまけなの
いらない存在なのよ!!!!!」

「...お姫様...」


何度も彼女はいう

自分はお姫様だと

自分こそが、特別な姫なんだと


そう主張し続ける彼女が
俺は大嫌いで仕方ないが、

もう哀れだ


「...もう誰もアンタを
お姫様だと思っちゃいねぇよ」

「ちがう!!エリナは」

「違わねぇだろ。だから今
アンタの周りには」


誰もいないんじゃないか
あんなに愛を捧げていた人たちが

もういないじゃないか





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