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トワイライトメモリー 【白】

第1章 出会い


「燈斗くん、おはよ!」
「…………ああ」

近くまで寄ってくると、八尋はにこにこの笑顔で挨拶をしてきた。

「クラス、もう見た?」
「……いや、まだだ」
「僕と燈斗くん、同じクラスだよ!ついでにタッキーも!」
「ついでにって何だよ」

八尋の後ろからスッと人が現れる。


永塚 多紀(ナガツカ・タキ)

こいつも中学からの同級生で、3年間クラスが同じだったため八尋よりも一緒にいた時間は長い。
俺とつるんでいたせいで喧嘩に巻き込んでしまうことも多々あったが、八尋と違いこいつは強いため今では安心して背中を任せられる相手だ。
ちなみに八尋からは親しみを込めてタッキーと呼ばれている。

「3人とも同じクラスなんて、なんか嬉しいね」
「そうか?」
「そうだよ!ね、燈斗くん」
「……知るか」

他愛ない会話をしながら廊下を歩いていく。
教室に着くと黒板には席順が書いてあった。

「…………やっぱりか」

貼り紙を見ていつものことながらため息をつく。
こういうものは決まって名前順になっている。
名字が“あ″から始まるため、こういう時は決まっていつも俺は一番前の席だった。

「お前、また一番前か」
「ああ。……お前らは」
「僕とタッキーは並んでるよ。僕の真後ろがタッキー」

言われて貼り紙を見てみれば、確かにそうなっていた。
しかも割と後ろの席だ。

「…………良かったんじゃないか?」
「そうか?」
「代わってほしいくらいだ」
「よく言うな。お前どうせどの席になっても授業サボるか、出席してても寝てるかだろ」

呆れたように多紀に言われる。
確かに授業なんて退屈なもの、出席しても寝て過ごすに限る。

「入学式、どうするんだ?」
「サボる」

即答するとその答えを予想していたのか、多紀に苦笑された。

「高校入っても変わらないな燈斗は」
「お前は出るのか」
「まぁ、サボりたいのは山々だが、初っぱなから教師に目をつけられるのもめんどくさいからな」

そうか、と適当に返事をして八尋を見る。

「僕は出るよ」
「だろうな」

こいつは元々真面目な奴だ。
よっぽどのことがない限り授業をサボることなどしない。
なぜこんな奴と仲がいいのかたまに不思議に思うことがあるくらいだ。
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