第1章 出会い
いま思えば、彼女と出会ったのは必然だったのかもしれない。
高校の入学式。
どいつもこいつも浮かれた顔ばかりで、友人や親とはしゃぎまくっている。
だがそんな奴らも、俺の顔を見ると顔を強張らせて慌てて目を反らした。
荒瀬 燈斗 (アラセ・トウト)
もともと目付きが悪かったことで中学時代は喧嘩をふっかけられることが多く、自然と腕っぷしは強くなった。
しかしそのせいで周りからは恐れられるようになり、影では色々言われているのもしっている。
俺自身そこまで他人とつるんで遊ぶタイプではないので、不都合があるわけではないのだが。
さすがに顔を見ただけで相手から避けられるというのは、内心複雑な気持ちになる。
女子なんかに声をかけようものなら、泣きながら謝られた。
そんなことがあってからはますます人に避けられ、俺を知っている奴で話しかけてくるバカはいない。
「燈斗くーーん!!!」
ただ二人の例外を除いては。
名前を呼ばれ振り返ると、満面の笑みで走ってくる男子生徒が視界に映った。
中瀬 八尋 (ナカセ・ヤヒロ)
中学の同級生だ。
俺に物怖じせず話しかけてくる数少ない人物で、なんというか、ガキっぽい。
ただ単にバカなのかもしれない。
なぜかある日突然付きまとわれるようになり、それを拒まずにいたら共に過ごすことが多くなった。