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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第13章 朝凪





時は流れ、1年が経とうとする三日前。

「あー…一年てあっという間」

「…全然そうは思わないが」

「スモーカーは若いんだよ、脳が」

「お前は達観し過ぎだ」


廊下をカツカツと歩く影が二つ。
1年前よりも逞しくなった男と、背は小さいが、筋肉がつき逞しくなった女。

リンは上げたくもない階級をどんどん上げ、准将、スモーカーは少将となっていた。しかし、リンのその称号も、今日で無くなる。

「ヴェルゴさんに挨拶しなきゃ」

「あぁ」

「スモーカーともお別れだね」

「…そうだな」

食堂に着き、スモーカーはカレーを、リンはオムライスを注文し、受け取ると兵士たちの少ない窓際のテーブルに陣取った。

1年あっという間と雖も、色々なことを経験した。
元から備わっていた見聞色の覇気をさらに洗練させ、武装色の覇気も身につけた。
実戦訓練も他の兵士が呆れるほど取り組み、基礎的なトレーニングもやった。
しかしそれだけではない。休暇にはこっそりと本部の書庫へ行き、自分の国の情勢について調べ倒した。
収穫がたくさんあった一年だった。

だが、満たされないものは未だにある。

ローに会いたい、という願望だった。

ローに会うのは、自分にある面倒事を片付けてからだ。

何回、何千回自分に言い聞かせただろうか。リンはあまり減っていないオムライスに目を落とす。

「どうした、珍しく進んでねぇじゃねぇか」

「……そうだね……あと二日後に…スモーカーともお別れなんだって思ってたらー……」

適当に取り繕うとしたが、それは逆効果になった。

幼い頃慕っていたスモーカーとまた再開でき、1年ずっと一緒にいたことで、どこか離れ難くなってしまったのである。それに気づいてしまったリンは、目から涙が落ちるのを我慢できなかった。

「お、おい」

「ふぇ…ごめ……なんで……涙止まらな……」

ローに会いたいという思いと、スモーカーとこれで会えなくなるという現実がぐちゃぐちゃに混ざり合ってポロポロと零れ落ちる。

「お前は本当に昔から変わらねぇな」

「…っぐ…どこが……」

「どんな現実知ったって優しすぎるとこは変わんなかったんだな…安心した」

「スモーカー…!!」

より一層涙が溢れてしまう。
そんな様子を察したG-5の海兵たちが集まってくる。
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