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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第11章 風が止む


リンはローの背中に手を回し、子供をあやすようにぽん、ぽん、と撫でた。

「私そんな簡単にいなくならないよ」

「その言葉に保証はねぇだろ?」


そう言われれば、確かに、と考え込むリン。


「あ!こう言うのはどうだ?ローの能力で、私の心臓をローが持ってればいい。うん。これ完璧」

バッとローがリンの顔をまじまじと覗き込んで、横を向いて、吹き出した。


「…その一連の動きなんか腹立つ」

「ククッ…ハハッ…お前はホントに突然爆弾を投下してくれるよな」

わしゃわしゃと訳のわからないまま頭を撫で回される。

「冗談じゃないからな⁉︎いざとなったらそうして欲しい…体の一部だけでも、一緒にいさせて欲しい…」

言葉に勢いがなくなる。
そりゃ一般人が聞いたらとんでもないくらい狂ってるとしか考えられない発言だったからだ。

「最悪の場合…おれもそうする」

ニイっと笑った顔。リンはその顔が好きだった。

「…まぁそんなわけで、もし次襲撃に遭ったら私も戦うぞ!」

「あぁ、わかった」

思いもよらないすんなり承諾に、ぱちぱちと瞬きをするリン。

「だが、無茶はするな」

「…!うん!」


リンは大きく頷いた。


「で、仲直りのキスは?」

「…は?」

ローの問いかけに、ぽかんとするリン。

「ここは、お前がおれの襟首掴んで引き寄せてキスが定石だな」

「何言ってんだ」

「これはありきたりなのが売り…おれは何を言ってんだ…」

ローを最後までジャックしきれなかった作者。

「…まず襟首掴んで引き寄せられる気がしない」

難しい顔をしていると、チュッと頰にキスをされた。

「安心しろ。機会はいつでもある。なんなら今夜でも…」

「まぁ…Σはっ波に飲まれそうに…」

リンは寸前のところで我を取り戻した。


「とりあえず、処置しに行くぞ。いい加減薬品の見分けくらいつけて欲しいもんだが」

「…あれは薬品の瓶に名称書いてなのが悪い」

「んなもん見りゃわかる」

「チッ…この出来過ぎ君め」

「お前にしちゃいい褒め言葉が出たな」

「ローがポジティブすぎるんだ‼︎」

ワーワーと言い合いをしながら治療室に向かう二人を、クルー達はにこやかに見守るのだった。
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