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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第11章 風が止む


硝煙や火が上がる海上。

船の周りに落ちていく鉄の塊。

「刃風!!!」

リンの声とともに吹き荒れる刃のような風に軍艦は斬られ爆発を起こす。
轟音とともに消えていく船1隻。

ここのところ連日のように海軍の船が現れる。
ハートの海賊船は、ローとリンにより守られていたが、リンの体力が限界に達しそうだった。


つかの間の穏やかな時間。
甲板に座り、警戒しながら海を眺めるリン。
そこへ、毛布を片手にローがやってきた。それを察したリンは、口を開く。


「…なんでこんなに海軍が」

「さぁな…それより少し休め。昨日も寝てないだろ」

ローとリンは一緒のベッドで寝ている。
最近は寝る時間がバラバラで、ベッドに入るのは別々の時間だが、大抵ローはリンを抱きしめて寝る。
それ故に、リンが寝ていないこともわかりきっていた。

「…なんか心配で」

隈の出来た目元。連日の戦闘で、少しやつれたようなリンに、バサッと毛布をかぶせる。

「もがっ」

ローはリンの隣に座り、もぞもぞと動いている毛布の塊を自分の膝の上に倒す。

「海軍が現れたらたたき起こしてやるからそれまで寝てろ」

ようやく顔を出すことができたリンは、ローの優しさに癒されながら甘えることにした。


「…ロー、もうちょっと甘えていいか?」

「あ?あぁ、構わない」

リンはミノムシのように毛布にくるまり、ちょこんとローの足の間を陣取る。そしてスヤスヤと寝始めた。

「ったく、素でやってくるからこいつは…」

ローはミノムシをきゅっと抱きしめて、後ろの壁に寄りかかった。







どれくらい寝ただろうか。

起きろ、と声がする。
目を開けると、ローの顔。


「…おはよ」

「よく寝れたみてぇだな。だが残念なことに状況は最悪だ」

「…‼︎」


軍艦が5隻、ハートの海賊船を囲むようにしていたのだった。
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