第16章 ストバスとお菓子

そこで私は大切なことを思い出した。

穂波「あ‼︎試合始まっちゃう‼︎」

紫原「えー？試合って何？」

穂波「今日ここでストバスの大会があるんです」

紫原「みたいだね〜。もしかして出んの？」

穂波「いえ、私は出ませんけど彼氏が出ます」

紫原「ふーん？彼氏いるんだ〜？強いのソイツ？」

穂波「点取り屋ではないですけど強いですよ。アシストさせたら日本一かも」

紫原「なんか〜オレの知ってるヤツに似てるかも〜。中学の時のチームメイトにいたんだけどさー」

穂波「バスケやってるんですか？」

紫原「オレ〜？うん、やってるよ〜」

やっぱり。こんなデカかったらバスケかバレーあたりやってそうだもんね。

穂波「今日の大会には出ないんですか？」

紫原「あー、ウチの学校草試合とか禁止なんだよね〜。ま、そーじゃなくても出ないけどメンドクサイし〜」

メンドクサイって…好きでやってるんじゃないのバスケ？変な人だなぁ…。ま、いいか。そんなことより早く行かないと試合終わっちゃう。

穂波「あの、それじゃ私そろそろ行きますね。ぶつかっちゃってすみませんでした」

紫原「えーもう行くのー？あ、そーだ名前教えてよ〜？オレ紫原敦」

穂波「えーと、小坂穂波です」

紫原「ふーん、穂波ちんかぁ〜。じゃあねー穂波ちん。またクッキー作ったらちょうだいねー」

穂波「え？はい、じゃあ失礼します」

紫原「バイバーイ」

なんだろう…よくわからないけど気に入られたみたいだ。でも急がないと本当にテツヤ君の出番見逃しちゃう。私は荷物をまとめるとコートへ急いだ。


私がキセキの世代に遭遇したことを知るのはこの少し後の話。