第2章 始まりの花
黒子side
穂波「すごーい…綺麗…」
小坂さんは立ち止まったまま、桜並木に見入っていました。
黒子「よかったら下を歩いてみませんか?」
頷いてくれたので2人並んで歩き出すと嬉しそうな顔をしてくれました。
穂波「…あ、もう終わっちゃった…」
端まで来るととても残念そうな顔をしてつぶやきました。
黒子「まだ帰り道がありますよ」
もう少し一緒にいたくて少しゆっくりと歩きました。小坂さんも歩調を合わせてくれました。ふと、風が吹いて花びらが雨のように降り注ぐ。
穂波「…綺麗だね」
黒子「僕のとっておきの場所なんです」
そう言うと何故か目を逸らされました。気に入ってもらえなかったんでしょうか。
少し不安になったので聞いてみました。
黒子「…気に入ってもらえましたか?」
穂波「うん。すごく綺麗で素敵な場所に案内してくれてありがとう黒子君」
多分僕は驚いていたんだと思います。小坂さんはまっすぐ僕を見つめて笑ってくれました。
花が咲いたみたいな優しい笑顔で。
それに…名前。初めて僕の名前を呼んでくれました。僕は嬉しくなって言いました。
黒子「気に入ってくれたなら何よりです。それと名前…覚えてくれてありがとうございます」
あ、今気づいたみたいですね、僕の名前を間違えなかったことに。嬉しそうに笑いかけてくれました。僕も自然と笑みがこぼれます。ちょっと照れますね。
もう少し一緒にいたかったんですけど、あまり遅くなってはお家の人も心配するでしょうから送っていきましょう。
黒子「駅まで送ります」
小坂さんが少しだけ寂しそうな顔をしたのが気になりますが、駅まで送っていきました。