第14章 もう一度
黒子side
翌朝食堂へ行くと、何故かカントクが朝食を作っていました。
日向「げ、なんでカントクが飯作ってんだ…小坂は?」
リコ「穂波なら部屋よ。あの子昨夜から体調崩してるの。だから今日は一日休ませるわ、よろしくね」
小金井「え?小坂ちゃん具合悪いの⁈病院とか行かなくて大丈夫⁈」
リコ「そこまで悪い訳じゃないわ。今日は念のため様子を見ようってだけよ」
伊月「…ってことは今日は一日カントクが飯作るってことか…」
みんなが覚悟を決めている間、僕は上の空で話を聞いていました。
穂波さんが体調を崩している。昨夜のことがショックだったからに違いありません。僕はなんてことを…。
黒子「カントク、穂波さんは…」
リコ「黒子君、心配なのはわかるけど今はそっとしておいてあげて。昨夜は一睡もできなかったみたいだから」
黒子「そんなに…ですか」
リコ「夜になれば落ち着いているでしょうからお見舞に行ってあげて」
黒子「いえ、それなら僕は行かない方がいいと思います」
リコ「行きなさい。これは監督命令よ、黒子君」
黒子「…わかりました」
僕がお見舞に行ってもまた君を傷つけるだけでしょう。僕は許されないことをしました。また君を傷つけてしまった。以前よりも深く。君が僕のことを嫌いになってしまったのは仕方ないことだと思います。僕はそれだけの罪を犯したのだから。僕が君のためにできることはもう一つしかないのでしょう。今夜までにその決断をしなければなりません。最後の決断を。
午前中の練習から戻ってくると、昼食の準備がしてありました。カレーとスープとサラダ。君が用意してくれたものだとすぐわかりました。体調が良くないのに無理して作ってくれたんですね。
良く味わって食べます。君の恋人として食べる、最後の手料理ですから。