第12章 開始
午後からは体育館に移って練習。やっぱりこっちの方がみんな動きがいい。隣では秀徳の皆さんが練習している。強豪校なだけあってみんな上手いなぁ。…あれ?秀徳ってマネージャーさんいないのかな?そんな訳無いよね。今はいないだけなのかな?
ふとあることを思いつく。
穂波「あの、リミ先輩、このレモンのことなんですけど、秀徳の皆さんに1個差し入れしてきてもいいですか?」
リコ「どうしたの急に?」
穂波「いえ、食べきれないほどたくさん作っちゃった私が悪いんですけど、なんだかもったいなくて」
リコ「別にいいわよ?秀徳さんがもらってくれるなら助かるわ」
穂波「ありがとうございます!じゃああちらが休憩に入ったら差し入れしてきます」
秀徳の皆さんが休憩に入るのを見計らって、私はタッパを1個持って歩き出した。
穂波「あの…休憩中お邪魔してすみません。ちょっとお願いがあるんですが」
宮地「あ?誰だお前。くだらねえ用なら轢くぞ」
この人イケメンなのに怖い…
大坪「君は誠凛のマネージャーさん?用ってなんだい?」
一番大柄な人が穏やかに聞いてくれた。
穂波「はい、誠凛のマネージャーで小坂穂波といいます。休憩中お邪魔してすみません。よろしかったら皆さんこれを召し上がっていただけませんか?レモンの蜂蜜漬けなんですけど、たくさん作り過ぎてしまってウチでは食べきれないので」
高尾「マジで⁈いいの⁈女子からの差し入れとか超嬉しいんだけど」
緑間「敵からの施しは受けないのだよ」
やっぱり迷惑だったかなぁ…。眼鏡をかけた人は横を向いてしまった。
高尾「あ、気にしないで真ちゃんツンデレだから。こう見えて超喜んでる」
緑間「喜んでいないのだよ。全く…少しなら食べてやってもいいのだよ」
穂波「あ、ありがとうございます!よかったぁ、みんなに作り過ぎだって怒られてどうしようかと思ってたんです。お口に合うかわかりませんがどうぞ」
嬉しくて自然と顔がほころんだ。眼鏡の人は何故か驚いた顔で頬を赤くしながら受け取ってくれた。