第8章 蕾
その日私は日直だった。放課後の教室で1人学級日誌を書いている。
穂波「遅くなっちゃった…早く提出しなきゃ」
今日も雨が降っている。
あの日から10日。黒子君とは挨拶する程度で話してはいない。いつまでも凹んでいてはいけないから、前みたいに話せるようにならなくちゃ。頭ではわかっているけど心がついていかない。私どれだけ黒子君のこと好きだったんだろう。あんなにキッパリ振られたのにこんなに未練タラタラなんて。早く切り替えなきゃ。
穂波「失礼しまーす」
職員室で先生を探す。あ、いたいた。
穂波「先生、学級日誌です」
「おう、ご苦労さん。ああ、そうだ小坂、ご苦労ついでに一つ頼まれてくれ。このプリント火神にやらせてまた持ってきてくれ。今日提出なのにあいつだけまだでな」
なんですとぉ⁈何時間かかると思ってるんですか先生⁈
「そう嫌な顔するな。ちゃんと火神用に3択にしてあるから適当に丸つけさせろ。それなら5分もかからないだろう?火神なら体育館にいるからその場でやらせろ」
適当にって先生がそれを言っていいんですか?
それにしても体育館かぁ…。練習中だよね絶対。練習中断させたらきっと…。
私は重い足取りで体育館へ向かった。