第4章 お弁当箱の中には
黒子side
「「「「いただきます!」」」」
早速僕は小坂さんのお弁当箱からだし巻き卵をつまみました。神原さんのお弁当も美味しそうでしたが、小坂さんの方がもっと美味しそうに見えたんです。
黒子「あ、」
思った通り、とても美味しかった。出汁が効いていてなんていうか、小坂さんらしい優しい味がしました。
穂波「…どう、かな?」
恐る恐る聞いてくる小坂さんが、なんだかかわいいと思いました。
黒子「すごく美味しいです。小坂さんは料理上手なんですね」
何故か真っ赤になって俯く小坂さん。照れているんでしょうか。
穂波「よかったぁ…」
そしていつものように笑ってくれました。花が咲いたみたいな優しい笑顔で。やっぱり小坂さんにはその優しい笑顔が似合います。さっきはまだ具合が悪いのに僕に気を使って無理して笑ってくれたんですよね、きっと。
辛い時には無理して笑わなくていいと言いたかったのに、僕は言えませんでした。小坂さんが僕に心配をさせないために一生懸命笑ってくれていたから。それからずっと胸の奥のどこかが痛かったんですが、今の笑顔で安心しました。もう体調もよくなったみたいですね。
律香「ちょっとー黒子君ー?さっきから穂波のお弁当ばかり箸つけてるけど私のもちゃんと食べてよね?」
黒子「すみません神原さん。小坂さんのお弁当が美味しくてつい」
律香「それって私のがまずいってこと?」
黒子「いえ、神原さんのお弁当も美味しいですよ」
律香「思いっきり棒読みなんだけど」
火神「お前ら何イチャコラしてんだよ」
律香・黒子「それは違う(います)‼︎」
慌てて小坂さんの方を見るとクスクスと楽しそうに笑っていました。
よかった…。
…よかった?僕は何を心配していたんでしょう。