第3章 えんそくえんそく
律香が買ってきてくれたレモンティーを飲みながら、心を静めようと努力してみた。落ち着け私。2人きりだからってデートな訳じゃないし、黒子君は具合の悪い私に付き添ってくれてるだけだから。
心配…かけちゃった…よね。
穂波「ごめんね黒子君、せっかくの遊園地なのに私のせいで…」
黒子「小坂さんのせいじゃありません」
穂波「だけど私に付き添って何も乗れなかったんじゃ楽しくないでしょ?」
黒子「具合の悪い小坂さんを放っておくなんてできません。それに小坂さんがいない方が僕は楽しくありません」
今、すごいことをサラッと言われた気がする。
黒子「だから早く良くなってまたみんなで周りましょう」
みんなで、か。そうだよね、みんなの方が楽しい、よね。
黒子「小坂さん…?」
また俯いてしまった私に気遣わしげな視線を向けて、黒子君が私を呼んだ。
穂波「あ、ううん大丈夫だよ黒子君。それよりもう12時になるからそろそろおひさま広場に行こっか」
ちゃんと笑えてるかな、私。
黒子君は何か言いたそうだったけど、そうですねとだけ言って立ち上がった。ジェットコースター横にあるコインロッカーから荷物を出して、おひさま広場に向かった。黒子君は何も言わずにさりげなく荷物を持ってくれた。
ありがとう、黒子君。