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今宵の月は貴方と共に【高杉】

第1章 月のうた


例えば欲望に、一生をささげても押しつぶされる時もある

いばらを振りほどき、愛しさも、うたに託して
貴方のうたはいくらでも浮かぶのに、それを貴方の前で詠むことはできない
貴方は私のうたを褒めてくれる。
それがすごく嬉しいのに

うた心笑う者は、天罰がくだればいい

「遊びじゃないです、私がその月を消してみせます」

「へぇ、そりゃァ楽しみだな、キスしてやらァ」

君の 思わせぶりな言葉
溢れだした感情に、気づいてないフリをしたんだ

いきなり、彼の目の前に立ってみせた

「月はまだ見えますか?」

一瞬驚いた顔をしたらまた笑って、わたしを見つめる

「…くくく、こいつァ一本取られたな。さすがうた詠み、考え方が違うなァ」

「ありがとうございます」

そう言って微笑んで見せる。
彼はまっすぐに私をみて口を開く。

「約束だ、キスしてやらァ」

「…」

私は黙って見つめる、突然引き寄せられた体にバランスを崩すと唇に何かが触れる、
近くにあるのは彼の顔で…

「悪くねぇ」

そう言ってイタズラに肩を揺らして笑う彼に心臓がうるさく鳴って止まない

「…っ」

本当にするとは思ってなかったものだから、私は多分、顔が赤い。

「お前は林檎か?」

「なっ…!」

誰かが言ってた真実は、時として満たされるの
好きなひとと出来たキスははずかしながら初めてのもので、考えてみれば自分はなんて恥ずかしいことをしたんだろう、
そうしていまも見つめあってるなんて
私は幸せ者だ、賭けに勝ったキスでも、私はこんなにも嬉しくて

「くくく、こりゃァ面白れェ」

「あの…何のおもてなしもできませんが、ちょっと傍にいてくれませんか?」

「…あぁ、いいぞ」

「やったあ」

「うたでも詠んでくれよ」

「いいですよ!」

誰かが言ってた瞑想だけ
このしばりを抜け出して
満月の一日前に2人笑いあう

明日の満月も、こうして二人
笑いあえたらいいのに

「いいうただな」

うたいながら君とやり取りした場所は今でも…
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