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今宵の月は貴方と共に【高杉】

第1章 月のうた


夜、部屋を抜け出して彼の元へ
寒くて部屋からでたくないのだけれど、彼はきっとここにきているはずだから

「晋助様…?」

名前を呼べば彼はにたぁと笑って振り向いた
この不器用な笑顔が、また好きだったり

「どうした、こんな夜中に」

「月を、みにきました」

まぁ半分は貴方に会いにきたんですけどね
月と貴方でうたが詠めたらいいな

「そうか、俺ァ満月が好きだがな、今日はその前って感じだな、明日が満月だ」

私には目を向けず月に向かう彼は月明かりにあたって艶美に輝く
綺麗な横顔に触れたいと、手が伸びそうになった

「明日も見なきゃですね」

「明日も来るか?」

「はい、地球からの月を見るのはすごく好きなんで」

「お前が月に興味あったとはなァ、得意のうたでも詠むか?」

「太陽は暑くて直視できないけれど、月は優しくてずっと見ていられます、うたは…かけたらいいです」

「そうだな、それに月は暗闇を照らす唯一の存在だ。月がなくなりゃなにも見えねェよ」

「私はなにも見えなくても貴方がいれば十分ですよ、貴方の声を探してついていきます」

「くくく、そうか…」

街灯よりも月よりも、貴方の存在が一番輝いているのだから

「…晋助様、私がキスしてと言ったらどうしますか?」

「キスして欲しいのか?くくく」

私がいきなりそういうと、彼は横目で私をみて笑った、そしてまた月に目を向ける

「…はい」

「そうだな、…きれェなあの月を、一瞬で消せるなら、キスくれェしてやらァ」

「え...?」

「そんな事できるか? くくく。遊びのつもりなら目障りだ。邪魔はしないでくれねェか」

イタズラはでたらめにしか伝わらないのかな?
私をじっとみる右目が、月よりも綺麗で、月がなくなってもいいなんて思う。

誰かが言ってた貞操から裸足のままで飛び出して
これも恋かな、なんて、
うたいながら貴方とやり取りした言葉は、今でも私の心を掴んだまま離さない
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