第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
凛はリヴァイの清潔感に包まれたスーツを汚さない様にと、自分の袖で溢れ出した涙を拭う。
そして、視界の隅でリヴァイの横顔を盗み見た。
「オールバック、すごい似合ってる……」
不意に口から零れた言葉を聞いて、リヴァイはフッと笑い声を漏らす。
「お前が言ったんだろうが。」
「……え、」
「お前が“似合う”と言っていたのを覚えてたから、転生してから俺はずっとこの髪型だ。」
記憶はあるといっても、そんな些細な会話まで覚えていてくれたとは、思ってもみなかった。
涙は止まってくれたけど、強く早い拍動は一層激しさを増す。
この嬉しさを抱えたままでリヴァイに抱き着いていると、また“ダメな衝動”が込み上げそうだ……
湧き上がる感情を誤魔化すように、話題を変える為に口を開いた。
「……リヴァイって、今何してるの?」
「フリーのボディーガードをしてる。」
「ボディーガードって…SPみたいな?」
「まぁ、やってることは同じようなことだろうな。
だが警察に所属してる訳じゃねぇ。
個人の専属契約で要人警護をしてる。」
「……めちゃくちゃリヴァイっぽい……」
ふとリヴァイが要人警護をしている様子を想像してみる。
しっくりくる、どころの話じゃない。
身綺麗で清いスーツを着こなして、オールバックでボディーガード。
もはや格好いい姿しか頭に浮かばない……
衝動を紛らわす為に質問したのに、またリヴァイの胸元に顔を埋めてしまいたい欲求が溢れ出した。