第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「誰がこの三年間で変わったって?」
「……変わったと思っていたんですが、実際みんなに会ってみると、そうでもなかったということを強く実感しました……」
細い声で胸元に顔を埋めてくる凛を、ますます強く抱き竦める。
完全に凛のことを思い出したのは、つい数時間前の筈だが、そうとは思えないくらい、こうしているだけで凄まじい安心感で満たされる。
……俺は、ずっとこの感覚を求めていた。
そう断言できる。
凛は、やっと見つけ出した、自分が一番求めていた存在だ。
エルヴィンの言っていた通り、俺もずっと“誰か”を探していた。
その“誰か”の顔も名前も分からなくても、この温度を生まれた時から求めていた。
それに、いつかきっと探し出せる気がしていたことも確かだ。
「待たせて悪かったな……」
記憶にある凛の髪の長さより短くなった髪の毛を、天頂からゆっくりと撫でる。
首筋に回された凛の手に力が入り、求められている、そんな気分が芽生えて心が騒ぎ立つ。
「……凛、愛してる。」
つい口から零れ落ちた言葉と殆ど同じタイミングで、耳元に生暖かい感触を覚えた。
「……会いたかったよ、」
「……ああ。俺もだ。」
「……元気にしてた?」
「……お前もちゃんとメシ食ってたのか?」
「ん……、そこそこには。」
リヴァイの肩に顔を伏せた凛は、呼吸を落ち着かせるようにゆっくり深呼吸をした。